愛をちょーだい!
1*初恋の人
あたしの初恋は、高校一年の春。
不良に絡まれていた所を助けてもらった時より始まった。
「怪我ねェか…」
「え……、あ…っ」
「……ねェならいい。気をつけて帰れ」
あの時は気が動転してて、恐怖心が抜けなくて、助けてくれた彼に何一つ言うことが出来なかった。
指し伸ばされた手も、かけられた声にも、反応を返すことなんてできなくて、ただ震えていることしかできなかった。
だけど彼は、あたしの態度に怒るでもなく、優しくそう言って、大きな手で頭を軽く撫でてくれた。
その時の事は、今でもハッキリと覚えてるし、鮮明に思い出せる。
名前も知らない彼を好きな気持ちも、あの頃から何一つ変わってない。
そんなあたしに、恋の女神から最高のプレゼントが舞い降りた。