愛をちょーだい!
1*初恋の人


あたしの初恋は、高校一年の春。
不良に絡まれていた所を助けてもらった時より始まった。


「怪我ねェか…」

「え……、あ…っ」

「……ねェならいい。気をつけて帰れ」


あの時は気が動転してて、恐怖心が抜けなくて、助けてくれた彼に何一つ言うことが出来なかった。


指し伸ばされた手も、かけられた声にも、反応を返すことなんてできなくて、ただ震えていることしかできなかった。


だけど彼は、あたしの態度に怒るでもなく、優しくそう言って、大きな手で頭を軽く撫でてくれた。


その時の事は、今でもハッキリと覚えてるし、鮮明に思い出せる。


名前も知らない彼を好きな気持ちも、あの頃から何一つ変わってない。


そんなあたしに、恋の女神から最高のプレゼントが舞い降りた。
< 1 / 5 >

この作品をシェア

pagetop