White snow #白い小人と黒い小人の手記より
建物の中はとても薄暗かった。

ゆらゆらと陰を揺らすロウソクの灯りだけが唯一の光源だ。

「こ、こんにちわ〜」
入り口から一歩入り中に向かって声をかける姫。

ロウソクが微かに揺れた程度で、中からの反応は無い。
身構えていると、闇の奥で微かに布が擦れる音がした。

「は、入りますよ〜」
まるでお化け屋敷にでも入る心境で中に進む姫。
ゆっくりと、だが一歩一歩確かめるように前へと進む。


布一枚で区切られたスペース。
どうやら、この布がカーテンの代わりとなっているらしい。

奥は暗くてよく見えないが、確かに人の気配がする。

「えっと、こ、こんにちわ〜。お邪魔してま〜す」
どもりながら奥に居るであろう人に声をかける。

・・・反応がない。

「ふぅ」
一息付くと、意を決してカーテンの奥、闇の中へと飛込んでいった。
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