遙か彼方
お互い見つめ合ったまま動けずにいた。
私の腰の引けた体勢も変わることはない。
第一声を発したのは彼からだった。
「僕のことが怖い?」
その質問は答えたくない。
だって怖いと思っているから。
でも怖いなんて言えない。
私の為に正体を証してくれた彼に怖いなんて言える訳がない。
私は首を横に振った。
────つまり、嘘をついた。
なのに彼の悲しい表情は変わらない。
彼も分かっているんだと思う。
私の嘘を。
「僕、宇宙人なんだ」
「………」
言っている意味は分からなくはない。
分からなくはないけど、頭が付いていかない。
宇宙人って本当に居るの?
見た目がこんなに人間にそっくりなの?
だいたい、宇宙人が居るならニュースになっている筈でしょう?
けどそんなニュース見たことない。
どうしてそんな宇宙人がこんな所で私と話をしているの?
「美桜、落ち着いて」
混乱しきっている私に苦笑いの声が掛かった。