CAPTORS
それに矢那は頷いてみせる。

「おかしいな」

ぽつりと春日も呟く。

「どうして?」

「キラのこと、だいぶ前に連絡もらってるんだけど……まだ来てないのか……」

矢那の方を見ずに春日は壁に備え付けられている時計の方へと目をやった。

希螺が帰ってきて、研究所への案内を聞いたはずの時間からゆうに一時間は経過している。

「迷子にでもなってるのかな……」

「このフロアで?」

可能性を言葉にすると、レフィが即座に聞き返してくる。

そう言われるのも無理はない。

この5階はトレーニングルーム、研究所、CAPTORSの待機所、それくらいしか区画が存在しない。

迷子になりようはずもないのだ。

「キラ君……どこに行っちゃったのかな……」

「隊長に連絡してみるよ。あと、栄我さんにも」

二人に聞いてみれば、手がかりが得られそうな気がした。

春日は踵を返し、自分が先ほどまでいた研究所へと戻るべく、足を動かした。

「あいつ……どこにいったんだ?」

春日の呟きに応えるものは誰もいなかった。
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