CAPTORS
そして、その頭に手を乗せる。

その瞬間。

「うっ、わ」

思わず希螺は声を出していた。

頭の中に知らない映像が浮かび上がる。

目で見てもいないのにそのイメージが鮮明に感じ取れる。

目を閉じても見えるのだ。

希螺が視たのは色とりどりの花が咲き誇る草原。そこにあるのは見たこともない草花。

とても美しい光景だった。

「どうだ?見えたか?」

彩十の声が聞こえる。

「見えます。これが彩十さんのイメージ?」

「そうだ。綺麗だろ?」

何が見える?と重ねて訊ねられるが、希螺には上手く説明ができなかった。見える草花を表現するための名前を何一つ知らなかったからだ。

「えと……すいません、上手く伝えられない、です……こんな……カンジ、かな」

言葉での説明をあきらめた希螺は空中へと手を伸ばす。

掌から溢れ出る白い光。

それは徐々に希螺の周囲へと広がっていく。

その光がゆっくりと収束していき、今度は形を成していく。

赤や黄色、白やピンクといった鮮やかな花弁を持ち、青々とした茎や葉を根ざす様々な草花が姿を現した。
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