CAPTORS
掴んだ何かは何故か暖かかった。

ふわりとその手に重なる熱。

「大丈夫?」

聞き覚えのある声が耳に届く。

彩十ではない。

「あ……さく……や……?」

声の主を確かめようと顔を上げようとした時だった。

「バカ朔夜!そいつに今触るな!」

彩十の声と同時に頭に浮かんだもの。

それが何かを感じる前に襲われた今までにない痛みに希螺は、大きく体を仰け反らせ意識を手放した。



それは青色をした空。
緑色の草原。
水色の果てしない水。
透き通る頬をなでる風。

世界が色であふれていた。

それらすべてを破壊する赤銅色の雨。

雨はすべてを変えた。

空も草原も水も風も何もかもを「毒」へと作り替えた。

そして。

世界が死を迎えた。

そこに残ったのは絶望だけであった。

大地に佇む一つの影。

なにもなくなった世界に響くのは悲しみと憎しみの慟哭。

遠く遠く響いていけども、それを聞くモノは何もなくなっていた。

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