CAPTORS
自分の意志だったのか、そうではなかったのか、希螺の手は、華音の方へと伸ばされていた。
しかし、希螺が見たのは元種の口元に浮かんだ歪んだ笑みだった。
次の瞬間ーー
希螺の視界を覆い尽くすかのように、赤い飛沫が降り注いだ。
「カノン!!」
目の前で命を失い、崩れ落ちていく家族の体を見ながら、希螺は叫んだ。
受け止めたくても、体が動かなかった。
「逃げなさいっ!」
いつの間にか後ろに立っていた矢那に手を引かれ、希螺はされるがままに後ろへと下がる。
「おいっ
早くコイツを安全なところへ連れていけっ!」
その手を今度はレフィが掴み、近くにいた警官に引き渡す。
しかしすぐその場で、人間が一人殺されたことに、警官たちの間にも動揺が走っていた。