CAPTORS
ぎこちない動きで警官が希螺と後ろにさがろうとする。

希螺は逆らおうとせずにそれについていく。

頭の中は、華音の死のことに支配されていた。

目の前で家族が死んだ。

一人ではない。
たくさんの家族が一瞬のうちに命を奪われた。

「みんな……死んでしまった」

小さく呟くと、あまりの現実に涙が止まらなかった。

なぜ、自分だけが生き残っているのか。

なぜ、みんなが死ななければならなかったのか。

考えれば考えるほど、わからなくなってくる。

不意に周りが騒がしくなっていることに気が付く。

ゆっくりと周りを見回すと、先程まで整然としていた警官たちが、散り散りに逃げ惑う様子が見て取れた。

「同じ方向に逃げんな!バカやろう!」

少し離れたところで、レフィの怒鳴り声が響き渡る。
しかし、その声に聞き慣れていた覇気がない。

よく見ると、レフィはわき腹から血を流し、その場にひざをついていた。
矢那もケガをしたのか、足取りが重そうだった。

いつの間にか、自分の手を引いていた警官は姿を消していた。
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