CAPTORS
そしてその表情が驚愕に彩られる。

「矢那!
車を回してこい。こいつ生きてるぞ!」

矢那も驚いた顔をするが、次には大きく頷くと踵を返し走り去っていた。

「ポリス、現場を頼む。俺たちはこいつを本部へ連れていく」

遠くから車のエンジン音が近づいてくる。
矢那が急いで車を回してくれたのであろう。
レフィは自分の傷の応急処置を済ませ、希螺を預けていた警官に軽く頭をさげた。

警官は、了解しましたと敬礼すると、そのことを伝えるためか、足早に去っていった。

「死ぬんじゃねぇぞ、少年」

希螺を支える手に力が込められる。

なぜ生きているかはわからない。心当たりはあるが、それを証明するものは何もないし、本当かどうかも絶対には言い切れない。

けれど、生きているからこそ、死なせたくなかった。

レフィの目の前で矢那の運転する車がブレーキを軋ませながら止まる。

「よしっ。急いで帰らなきゃね~」

レフィが乗り込んだのを確認して矢那がぎゅっとハンドルを握りしめる。

「矢那、先に言うぞ。怪我人を乗せてるんだからな」

「……らぢゃっ」

イヤな予感を胸にレフィが釘を刺すように言うと、少し間をおいて矢那の返事が返ってきた。
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