CAPTORS
唐突に声をかけられ、飛び上がるほど驚く希螺。

声をかけた本人もつられて驚いた顔をしている。

「気づいていないとは思わなかった。驚かせて悪かった」

いち早く我に返った春日が軽く頭を下げる。

その時はじめて希螺は全員が部屋の中にいることに気づく。

いや、正確には、全員ではなく一人増えていたりする。

春日の隣に立っていたのは、年の頃は30を過ぎたか過ぎていないかくらいで、濃い金色の髪を短く切りそろえ、深いダークブルーの瞳に優しい光を灯した男性だった。

見られていると気付いた男性が希螺と目を合わせにっこりと笑みを浮かべる。

「はじめまして柏木希螺君。私はこのCAPTORSの総責任者をしているレイスという者だ。君がCAPTORSに入ってくれると聞いて嬉しいよ。ありがとう」

笑みを浮かべたままがっしりと希螺の手を取り、力強く上下に振った。

なにを言っていいのか分からない希螺は、はぁ……と気のない返事をすることしかできないでいた。

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