CAPTORS
独りになることは初めてではない。

今まで何度も経験していることではある。

生活の場が変わると必ず独りになる。

それが薄れていくこともあったが、中には生活の場があるにもかかわらず独りの時もあった。

孤独は希螺にとっていつも傍らにあるものであった。

それを今更実感すると言うことは、少なからず希螺にとって今回失ってしまったものが大切なものであったといえるのだろう。

「……あーあ……」

小さくため息をついた。

失いたくないと思っていても叶わないことの方が多い。

どんなに手を伸ばしてみても、それが届いた記憶はない。

今度はここが生活の場になる。

それもいつか失ってしまう日が来るのだろうか……

そんなことを考えたいわけではないのだが、今までの経験がそうさせる。

また、独りになる日が来るのなら………

「深刻な顔で何を考えている?」

「わ!」
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