ラブランク
私はうつむいたまま顔を

上げる事ができない。

でも、平静を保たなくて

はならない。

「そうだよ。昔の事だけどね。」

上手く笑えているだろう

か?自分は今、どんな顔

してるのだろう…。

「よく、野球教えに来てくれてましたよね。俺、その少年チームにいたんですよ。」

そういえば、そんな事あ

ったな〜。ヒデは野球好

きで、地元のチームに所

属して、休みの日には朝

から少学生相手に野球、

してたっけ…。

「俺、よく覚えているんです。お弁当作って一緒に応援してくれた瑞紀さんの事!」

「そう…。」

レイは続ける。

「だから、お店で会った時、すぐ分かったんだ。」

私が覚えていなくて、で

も私を知っている人がい

るのは少し変な気持ちだ



「そろそろ行こうぜ、レイ。」

アキラが戻って来た。私

は救われた気分だ。
< 11 / 72 >

この作品をシェア

pagetop