フェンス

周りが暗いせいか全然進んでいないような錯覚におしつぶされそうになった、それでも必死に重たい足を振り上げただただ走った。


…―突然、春斗が立ち止まり、ペンライトで壁や天井を照らし出した。

『よし。ホワイトフェンスに入ったぞ。』

俺達はホワイトフェンスにつながる橋の地下を一気に渡りきったのだ。

ハァ―…ハァ―…

『大丈夫か?裕。』

なんだか気分が悪い。

走ったせいか?

俺はその場に膝をついた。

吐き気のようなモンモンとしたものが胸の中で渦巻いているようで苦しい。

『大丈夫…急に走ったせいかな?気分がちょっと悪くて…』

『ホワイトフェンスに入ったせいだ。

時間のズレのせいで気持ち悪くなってんだ、大丈夫。

すぐに落ち着いてくる。秋斗がホワイトフェンスに入った時になったって言ってた。』

そう言って春斗は俺に手を差し伸べる。



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