フェンス

ガタッー…

蓋の向こうにはまだ薄暗いコンクリートの部屋が続いていた。

『ここは倉庫…だな。』

首だけをひょっこりとのぞかせて春斗が言う。

周りには沢山のダンボールが積まれており、薬品の嫌な匂いが漂っている。

壁の棚には背表紙に日付や時間などが記されているファイルがびっしり並べられていた。

春斗と俺はそーっと隙間から光が漏れるドアに近付く。

『ドアの外に警備員が2人いるわ。』

母さんが囁くように小さく知らせた。

『春斗…ドアの外に警備員が2人いるって。』

俺もそれを小声で春斗に伝える。

春斗は振り向き黙って頷くとより一層静かに歩いていく。

ドアにたどり着くとドアに耳をつけ外の様子を伺った。

セキュリティーが切れている道はここしかない。

どうにかして先に進まないと…


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