フェンス

俺達は太い円柱状になっている塔の廊下を左に廻りながら上に繋がるエレベーターを探す。

左側にほぼ2m間隔でドアがありそれぞれ様々な研究をしている部屋みたいだ。

ただブラックフェンスのように悲鳴や血の匂いはない。

変わりに機械音や薬品の匂いが立ちこめていた。

『裕!!ダメだわ!エレベーターに兵士がきてる!』

母さんが声を張り上げ俺たちに危険を知らせる。

『春斗まって!!そっちダメだ!』

そう言って引き返そうとするが後ろからも兵隊が追いかけてきていることを思い出す。

どうする―…?

どうすればいい―…!?
少し考え俺はあることに気がついた。

これだけ周りで騒いでいるのにドアから人がでてこないなんておかしい。

(もしかして中に人がいないんじゃないか?)

俺は拳銃を構え一番近くにあったドアを開けた。

案の定、中に人はいない。

俺達は中に入りドアを内側から施錠した。


< 111 / 238 >

この作品をシェア

pagetop