フェンス
10階フロアをぼーっと眺めていると…その真ん中に…
『…………真…優…?』
俺はガラスに張り付き目を凝らしてもう一度よく下を見る。
やはり目の錯覚ではなく10階の真ん中のベットには患者服を着た真優が横になっていた。
『秋斗さん!おろして!真優があそこにいるんだ!早く助けないと!』
気持ちが動転して慌て出す俺を諭すように秋斗さんは言う。
『裕!落ち着け、とりあえず今は綾紀さんのところに行くのが先だ!』
『だって、こんなに近くにいるのに…?』
『しっかりしろよ!よく考えたらわかるだろ?あの場所に今飛び出していっても真優ちゃんは救えないぞ。』