フェンス
秋斗さんはイヤホンを俺に返して、スーツケースをしめる。
『春斗、そこまわったとこの駐車場でおろしてくれ。』
『はいよ。秋斗、うまくやれよ。』
『秋斗さん気をつけて…』
『おう。お前等もうまくやれよ。』
『秋斗さん…』
不安そうな俺の頭を秋斗さんは少し微笑みながら撫で、車からおりていった。
秋斗さんは駐車場に止めてあったもう一台の車に乗りエンジンをかける。
クラクションを軽くならし手をふると俺たちの横を走りさっていった。
『じゃあ、俺たちもいきますか。』
春斗もアクセルを踏み秋斗さんとは違う道でホワイトフェンスのほうに向かって走りだした。