フェンス

秋斗さんが降りて静かになった車の中で俺はぼーっと窓の外を眺めていた。

窓の外には、毎年当たり前のように訪れる夏の空…

綺麗で真っ白な入道雲が少しづつ形を変えながら浮かんでいる。

ふと、目線を下げれば毎日普通に登校していた校舎が見える。

俺と凉と真優と真奈。

いつも4人でたくさん笑ってたくさん励ましあった場所。

(俺達…いつも一緒だったんだな…)

俺の目から一粒の涙が零れる。

もうすぐ本当にみんなの未来をかけた戦いが始まる。

『…負けられない。』

俺は真優と繋いだ左手をぎゅっと力強く握りしめた。


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