オバケの駐在所
「じゃあこの頭は
預かるから。
俺があるべき場所に
ちゃんと戻しておくよ。

あと代わりにこれを…。

まぁまたいつでも
遊びにきなよ。
……今度は
ちゃんとアイスを
買ってきてからな。」

私は大人だから
おまわりさんに
いちおうお礼を言って
手をふると
私らは私の家に帰る。

家にはパパも大好きだった
ガリガリ君があるし
ママが大事にしていた
綺麗な庭もあるし
思い出深い写真もある。
いちおう夏彦がいれば
寂しくもない。

そして水泳袋に入っていた
大切な熊のぬいぐるみを
抱きながら
家の庭に出ると、
私はさっき
おまわりさんから
受け取った私の遺骨を
さるすべりの
木の下に埋めた。

そのうちパパとママの
遺骨ももらうつもり。
そしてこの木の下に
埋めるの。
仲良く、一緒に。

また百日紅の花が咲けば
昔みたいに
楽しく笑えるかもなんて
未練がましく思ったんだ。
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