オバケの駐在所
――向こうでは自分の体よりも
大きなウスとキネで、
山の家柄関係なく
額の角で器用についている
ウサギの姿。

伸びているライムのほうは
素直に餅を
突いてくれるだろうか?
こっちのほうは
時間がかかりそうだ。

「綺麗なお月さんだね。」

1人みんなの輪から
外れていた俺に
またしても近づいてきた
メガネの女の子。

キャルロットはあっちで
茶髪の子と楽しそうに
笑っていた。

「褒美のお酒が
なくなっちゃったんだって。
天狗のおじいちゃんが
怒ってたよ。
誰が盗んだんじゃーって。
ウサちゃん知らない?」

俺は首を振る。

「知るわけないさ。
ハジメが盗ったんじゃないか?
もとはと言えばハジメが
呑みたがっていたんだ。
俺は酒には興味はないし
金色のウサギと一緒に
餅をつきたかっただけで……」

そう言葉を返した時、
失敗したと思った。

勝者の権利を使って
みんなと餅をついているのが
金色のウサギを招き入れる
口実でもあることと
バレるからだ。

「一緒にって言ったって
お月さんは
降りてこないでしょ?」

「は?」

「それとも
あそこまで行く気なの?
因幡の白ウサギみたいに
鳥かフクロウでも騙してさ」

そう言って指をさす先には月。

そう、お月さんなんだ。
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