オバケの駐在所
私は一括する意味で背中を
バシッと叩いてやった。

「ほら!
人相わるくなってるよ」

男の子は素直だから
考えてることが
目に見えてわかりやすい。

うらやましいと言えば
うらやましい性格だけど、
そこが憎らしいとも言える。

まぁ仲のいい同級生の話じゃ
落ち込むのは
仕方ないことだけど。

「ってーな。
そんな人相わりぃかよ?」

「ふふ、笑ってたほうが
もてるよ」

「……お前はやっぱり
笑顔が似合う奴のほうが
タイプなのか?
まあ……深い意味はないけど」

「私?私は別に……」

そんな話をしてた時、
視線の先の車が行き交う
十字路の真ん中に、
人が立っているのに
気がついた。

古びた和服を着ている
男の人。

そして私に微笑みながら
こっちへおいでと
いうばかりに
手で招いている。

……いや、人ではないな。
形がぼやけているし、
はっきりしていないし。
あんな危ない所で
なんだろうか。
何にしろあまり
関わりたくはないけど。

「……まぁ嘘くさい
笑顔をするよりは、
目つきが悪い人が好きだよ」

「……それって
もしかして……って、
ちょっとどこ行くんだよ!?
帰るんじゃねーの?」

私は修二くんを
置いてけぼりにして
その交差点に進んだ。
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