オバケの駐在所
何者も適わない死の力が
別れを惜しむ間もなく、
私とハジメさんは
引き離された。

すでに遥か後方に
遠のいた……彼。

もっと、
ゆっくりと話したかったな。

途端に蒸気の音がして
クランクシャフトが
うねりをあげたかと
思うと、
前方に巨大な機関車が
姿を表した。

わっ……!

そして囲んでいた
木々のトンネルを抜けると
帳を縫うように
夜空を昇っていく。

びっくりした……。
SLが空を飛ぶか……。

気付くと列車内に
風が音をたてて
流れ込んでいた。

私はそれを遮るため
窓を閉めて
横で足を
バタつかせている
坊やと手を繋ぎ、
ひとまず椅子に
落ち着く。

「こーら、
バタバタしないの。」
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