オバケの駐在所
気づいたことがあった。

やはり私はこのままだと
どうにかなってしまうらしい。

触っている感覚はすでにない。
匂いもしない。
味覚は?視界は霞んでるし
聴力も無音の
モスキートが
聞こえてくるようになった。

「なつみ。
あんたはまだ
生きられるんだから」

……そうなのかも
しれないけどさ。

「……ねえ、
お姉ちゃんはなんで
死んじゃったの?
私もお母さんもお父さんも
お姉ちゃんが
自殺したって聞いて
すごい悲しかった。
理由もわからなかったし、
誰も知らないって言うし。
それになんで私に
相談してくれなかったの?
私は……大人になって、
お姉ちゃんと一緒に
東京で暮らせるのを
ずって夢みてたのに。
……何がお姉ちゃんを
追い詰めていたのか
私に教えて」

「ごめんね、なつみ。
それは言いたくないの。
私はただ人生の選択を
間違えただけで、
なんであの時みんなに
相談しなかったのかって
今でも後悔してる。
……本当に大したことじゃ
ないのにね。
だからなつみは現世に戻って
しっかりと生きて。
後戻りができるうちに。
私はみんなが年老いて
ここに来るまで
もう少し待ってるからさ」

「……そんなの。
そんなのお姉ちゃん
辛いにきまってるじゃん。
何十年かかると思ってるの?
無理だよ」

「……待ってるから。
さあ、もう行って。
心配してくれて
ありがとうね。
成長したんだね、なっちゃん」

「嫌だって……
嫌だってば。
ねぇ、ハジメさん
なんとかして!」

「なつみ……、
ワガママ言わないで……。
お願い」
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