夕暮れ色の君
『…こが、しおり?』
「は、はい」
『へぇ、綺麗な名前だね。
じゃあ、栞ちゃんだから、〝しーちゃん〟って呼ぶ』
蒼さんから何気なく発せられた言葉に、びく、っと反応する。
「いや、それは…!」
『え、だめ?』
首を傾げて、にこっと同意を求める蒼さん。
一般的な女の子なら、全然いい。
だけど…、
「…あたし、〝しーちゃん〟って呼ばれるようなキャラじゃないんで」
無愛想で。
可愛いげの欠片もなくて。
人も寄せ付けない空気で過ごしてる。
そんな負の三拍子が揃ったあたしには、そんな呼び方なんて似合わない。
…そう、絶対似合わない、のに。