夕暮れ色の君


『…男が寂しい、って言うなんて弱々しい?』


「そんな、こと」


『こんな奴かって、軽蔑した?』


「ちが、」


『もう、こんな奴の声なんか聞きたくな…』


「…っ、蒼!」



自分でも驚くほどの、大きな声を吐き出した。



このまま放っておいたら、蒼が、壊れてしまいそうで。


それが、怖くて。

あたしはとにかく必死だった。



…蒼、は。


時折見せる笑顔の裏に、いくつもの闇を隠し持って生きているの。



『…ごめんね』



違う。

聞きたいのは、謝罪の台詞じゃない。



『何かむしゃくしゃしてて、』



そんな、作った嘘は言わないで。



「違う、よ…」



あたしが聞きたいのは、


…蒼をそこまで闇に追い詰める、〝何か〟の存在。


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