☆恋愛さらだ☆

黒い猫―健斗

会社帰り。


周りはすっかり暗くなって、まだ雨の匂いがする。



「あー、疲れた。」



肩を回しながら、機会にカードを通す。


スムーズに開く自動ドアの向こうには、誘惑の町が広がる。



おやじに手を通す若い女。

路地を見れば、男女が絡み合っている。



そんな中を、俺は一人歩いていた。




夏の終わり。


雨の後の町は、少し冷たい感じがした。





「おい、ねぇーちゃんいくつ?」


「きったねぇ服。」




ふと、ビルの間から声がした。










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