ハツコイ
翌日。

私は青いタオルと
お礼に新しい赤のタオルを持って、
学校に向かった。

入学式の次の日は
土曜日で学校は休み。

先生達が、いろいろ準備する事もあるだろうし…
と配慮したのだろう。


でも部活生である彼は
もしかしたら練習しているかもしれない。

そう思い、昨日は大量の目覚ましをかけて
朝6時には家を出た。


家から、この城南高校までは歩いて20分と
わりと近いところにある。


「ん〜やっぱいないか…」


柔道着を頼りに柔道部にきてみたが、
部員の姿はない。


仕方ない、と諦めて帰ろうとした時、

遠くにある水道で顔を洗っている人の姿が。


私はもしかして、
と思い駆け寄る。


「あ…のっ…」


恐る恐る声をかけてみると

「ん?」


洗うのを止め、タオルで顔をふいてこっちを見る。


あっ!この人だ!!
間違いないと思い、私は青いタオルを差し出す。

「これ…ありがとうございました!後、お礼に」

そう言って私は、袋に入った赤いタオルを渡す


この人には絶対
赤が似合うって思ったから。

昨日の入学式後
店で必死に選んだ。


「お前、昨日の…」


彼も覚えていてくれたらしく、
タオルを受け取り


「今日は早ぇんだな」


と言って微笑んだ。
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