ハツコイ
繋がれた手から先輩に
私の気持ちが伝わればいいのにな

そしたら…なんて考える
先輩は部活に集中したいから、って彼女を作らないのは知ってる

けど…どうしようもないこの気持ち。


健人先輩に、フラれるって分かってて告白した女の子たちの気持ちが分かった気がする


付き合いたいとかじゃない…

ただ、気持ちを伝えたかっただけなんだね


私も…できるかなあ。


「先輩…」


ガサガサー…


「わぁ!!」

突然の大きな声に私は…

「きゃあーー」

びっくりして腰がぬけてしまった


「ぅわ!」


健人先輩もつられて座りこむ


あ…手繋いでるから先輩の手引っ張っちゃった


その瞬間、離れた手と手。

あ〜あっと極端にショックをうける。


「ごめん〜いい雰囲気だったのに邪魔しちゃって」

大きな声を出した本人はどうやらゆき先輩だったらしい。


「いや…。吉永、大丈夫か?」


そう言って私を抱き抱えてくれた先輩。


「大丈夫です…」


「ごめんね、紗由ちゃん!」


「平気ですよ!」


なんて言いながらも
まだ震えがとまらない…

健人先輩はそれに気づいたのか、
私の頭をポンっと叩き、微笑んでくれた。


その笑顔が温かくて
なぜだか私はホッとしたんだ
< 35 / 208 >

この作品をシェア

pagetop