なんでも屋 神…第二幕
「暫くはな。神、ヤクザがそんな台詞を信じると思うか?その時が来たら、叩き潰すまでだ。」



どす黒く変わり行く兄ぃの雰囲気を感じ取ったのか、ノリのハンドルを強く握り締める鈍い音が車内に響いた。



「その男の名前は?」



数センチだけ開き、タバコの煙を逃がしていた窓を閉め、直ぐ右の漆黒に染まった窓の外に視線を向け、呟くように兄ぃは言った。



「三龍…俺には第三の男とも、第三の龍とも聞こえた。」



それ以来、[沙夜]に着くまで兄ぃの口は閉じたままだった。



俺も兄ぃとは反対側の窓に視線を移し、ぽつりと三龍の名前を呟いた…。
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