なんでも屋 神…第二幕
口を開けば即言い訳にしかならぬヤクザ社会…言い訳程浅はかで愚かな行為は無い。ノリもそれを十二分に理解しているのだ。



普段は兄ぃからの厳命を受け、それを着実に遂行する為に落ち着き払っている赤城も、その爽やかな長髪を振り乱して怒鳴っている。



一言で言えば脆い…兄ぃと言う頭が無くなった獣達は、その有り余る力の行き場を失い、皆途方に暮れているようだった。



だが裏を返せば、兄ぃがその手腕を的確に奮う事により、子飼い達は一枚岩となって強大な力を発揮する事の現れでも有る。



[谷口医院]の前でタイヤの軋む音が響き、何時か見た[神堂組]の萩を先頭にして、神堂龍造と若い女性が入ってきた。



息を飲む程の美人…[沙夜]の女将では無く、兄ぃと歳の近そうな女性。



眠っていただろうにも関わらず、そんな素振りは一切見せない、正統派な美人だ。
< 159 / 344 >

この作品をシェア

pagetop