なんでも屋 神…第二幕
神堂から発せられる重苦しい雰囲気に気付き、皆一様に言葉を飲み込んで神堂へ頭を下げ、その動向に目を光らせている。



息を、言葉を飲み込んだのは萩も同じ…初めて見る兄ぃの子飼い達に、その獰猛な瞳の光に、圧倒される他無かった。



訪れた静寂の中、ヒールの音を響かせて歩みを進める女性。光沢鮮やかな黒髪に薄化粧が施され、凛然と歩く様は圧巻の二文字。



記憶の片隅から兄ぃの婚約者で、神堂の長女だと悟った時には、その女性は硝子戸の前に立ち尽くし、憂いを含んだ唇から静かな祈りを捧げていた。



「話しは黒沢から聞いたじゃろう…。[狼我會]と思うか?」



響めき(どよめき)が巻き起こる待合室内。俺の前に歩んできた神堂の言葉に、表情こそは凍てついているが、微かな怒りが込められている。
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