なんでも屋 神…第二幕
人目に付かないようビルの前で車を降り、階段を使って事務所まで上る。



ノリには、何の電話だったのか話さなかった。



事務所のデスクに歩み寄り、三段重ねの引き出しの真ん中…奥の方を二重の壁にしている所から、ベレッタ9000Sと予備の弾倉を取り出す。



ブラインドの隙間から指してくる陽射しを受け、右手に確かな感触を残しガンメタ塗装の銃身が鈍く光を放つ。



此奴の世話には成らないければ良いが…。



安全装置を確認して腰に差し、ノリの待つベンツまで階段を駆け下りていく。



暫く、[なんでも屋]は臨時休業にするしかないな…。



本来なら、目立つベンツに乗って居る時に、銃を携帯する程間抜けでは無いのだが、兄ぃの血をとっぷりと含んだこの服装ではタクシーを捕まえられそうにない。



それこそ余計なトラブルの元になる。警察への通報や、乗車時にさり気なくヘルプの文字を車外に向けて出されたら一溜まりも無い。



タクシーには、危険信号を発信する装置が付いているんだ。
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