なんでも屋 神…第二幕
「…そんな言葉を信じる程、俺をお人好しだと思うか?」



緊張の糸が一瞬張り詰め、車内に立ち籠める兄ぃの血と混ざり合い、会話の内容を知らぬノリにも、それは伝染していく。


「私は親切心から教えて上げただけなのですが…[神堂組]と停戦協定を結べていない今、私は情報に重きを置き、その正確さとスピードを高く買い取ります。一種の[神堂組]に対する抑止力とでも言っておきましょうか…これ以上誤解されたくはありませんので、この辺で失礼しますよ。」



通話終了音が鼓膜を伝い、脳内で静かに木霊する。



三龍の言っていた事は真実か否か…どちらに転ぼうが、全ての決断を俺に任せたのか…。



しかし声だけながら、電話越しから三龍の独特な雰囲気を感じ取り、俺は兄ぃを重ね合わせ僅かながら肩から力が抜けた。


俺なら、兄ぃなら…三龍と同じ行動を取ったなら…そう考えれば自ずと照準が定まった。



敵は[狼我會]とみて間違いないだろう。
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