なんでも屋 神…第二幕
相変わらずノリがご機嫌伺いの視線を投げ掛けてくるが、俺はタバコの煙をくゆらせたまま微動だにしない。



「いやぁ参った!一葉ちゃん変な風に誤解してたからさ、でもちゃんと誤解だって言ってきたからね。一葉ちゃんて嫉妬するのね〜。まぁ、それが普通なのかしら?」



事務所のドアを開くと同時に話しかけてきたのは、嫉妬と言う言葉とは全く無縁の女…勿論マコ。



「あれ?お客さん?」



マコとノリが視線の先を交えている最中、俺の脳内に一つの閃きが火を灯した。



些か問題は有るが、この際仕方無いか。



そして俺は、この時完全に見落としていた。



この狭い事務所内の空間に芽生えた、小さな小さな愛の双葉が顔を出した事を…。
< 202 / 344 >

この作品をシェア

pagetop