なんでも屋 神…第二幕
「別に調べた訳じゃない。昔のお袋を知ってる人に会っただけだ。こっから先は、[なんでも屋]の守秘義務として教えられない。」



知人連中の顔を思い出してでもいるのだろう…お袋の表情は、普段通りのポーカーフェイスに戻っていたが、鋭い瞳の先では俺を離さない。



「長年お前の母親をやってるとね、一々驚いたり心配してられなくなるのさ。で?何処まで聞いたんだい?」



不安と疑念が入り交じり、覇気の無いお袋の顔を見るのは初めてだった…。



俺は今、閉じられていたお袋の過去の扉を開き、眼下に深い螺旋階段を一歩一歩下ろうとしている…。



「お袋の源氏名が夜恵だったって事ぐらいで、後は…俺の父親が生きてるって事しか聞いてない。」



眼下で底無しに広がる闇に、俺は息子として光を当てながら、下っていかなければ成らないのだろうか…。



其れが例え、目を背けたくなるよう事実だったとしても…。
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