なんでも屋 神…第二幕
「お前の口から父親って言葉が出るのは…これが初めてだね。聞きたいかい?」



昔から居ないのが当たり前だった俺は、父親の事を気にした事も聞いた事も無かった。



いや、僅かながら幼心に気にした事は有った…。



小学校時代はそれでからかわれたりもしたが、そんな事を言う奴等は全てぶん殴っていたから、お陰で高校まで虐めとは無縁の存在で育っている。



小学校当時はそれが問題となり、お袋はその頃からガッコへ呼び出されていたが、俺は何度問い詰められても、頑なに殴った理由を言わなかった。



一度相手側から、俺に殴られた理由を先生に話した時見た、お袋の愕然とした寂しげな顔を見て、ガキながらに、触れてはいけない話しだと感じ取った事を今でも覚えている。



俺は未だ良かったが、真美は幼い頃俺に何度も、お父さんは?と訪ねてきた。



妹に寂しい思いをさせぬよう、俺は父親代わりの兄となり、そんな俺に真美は良く懐いた…。
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