なんでも屋 神…第二幕
ノリが五月蠅く口を開く前に、俺は深くシートに凭れて瞼を閉じ、昨日の事に回想を巡らせていた…。



お袋の過去と父親の所在…俺が生まれる前の二人…そして俺が生まれてから何が在ったのか、聞き出すには絶好の機会だったが…。



「別に聞きたくないね。お袋が死ぬまでに、どうしても聞かなければいけない時が来るだろう…その時で良い。父親に会いたい訳でも無いしな。」



俺は開きかけたお袋の過去の扉を、自らの手で静かに閉じた。



どんな過去が在ろうと、それらは全て事後報告にしかならない…。



「明日早いから今日はもう休むよ。お休みイトさん、お袋。」



何かを言い掛けたお袋の姿が横目に入り込んできたが、それを遮るようにリビングのドアを閉めて部屋に向かった。
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