なんでも屋 神…第二幕
真美の言葉が気にかかったが、見た事もイメージした事も無い父親の顔は、暗雲のように蠢き、輪郭すら形取れなかった。



そのまま呆然と視点を定めずに居ると、乾いた汗が不快感を、衣服に染み込んだ汗が寒気を呼び寄せる。



携帯の液晶から発せられる強い光に、瞳の奥が締め付けられるように痛んだが、何度か瞬きをして時計を見ると、時刻は深夜二時を少し過ぎていた。



不快感と寒気を拭いにシャワーを浴びに行き、頭からお湯を被り寝ぼけている身体に目覚ましを鳴らす。



部屋に戻り、隠していたベレッタ9000Sを構える。



この間マイアミに荷物を取りに戻った時、時間の合間を縫って実射訓練は積んでいた。



リリースボタンを押し、音も鳴くするりとマガジンを抜き、弾を詰め終えたらマガジンを戻す。



チェンバーが弾丸をくわえ込む金属音が、冷え冷えと部屋に響きわたる。
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