なんでも屋 神…第二幕
その後は何度もグリップを握り直し、素早く銃を抜く動作を確かめるが、どうしても左肩の痛みが気になってしまい、思うように上手くはいかない。



だが、今更そんな事を言ってもいられず、確かな納得は出来ないが、それも仕方無しと諦めるしかなく、徐にタバコを手に取った。



月灯りがタバコの煙に仄かな色を付ける中、一ヶ所一ヶ所の筋肉に力を送り込む。



左肩以外の体調は、万全なようだった。



何かを思い立ったようにタバコの穂先を灰皿に押し付け、久しぶりに真美の部屋へと足を向けた。



昔は俺がこのくらいの時間に帰ってきても、真美は未だ机に向かって勉強をしていたんだよな…。



思い出と共に真美の部屋の扉を開くと、壁に掛かった時計の秒針が騒音に感じ取れる程、主の居ない部屋は静寂を極めていた。
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