なんでも屋 神…第二幕
気付かずに、歩みを止める事無く玄関に向かっていくノリを後目に、俺は階段脇の物置の前で歩を止めた。



横幅は大人二人がゆったりと並べる広さだが、高さは俺ならば頭を下げないと入れない…。



不意に、影山の潜んでいた場所に視線を移す。



距離にして数歩程度…隠れようとしていたと言うのは、虚を突く行動として納得出来るが、それならば二階の方が、部屋数の多さから隠れるには最適な環境のはずだ。



観音開きの取っ手に手を掛け、ゆっくり扉を開くと、物置なのに荷物は見当たらない。



まぁ、無人の家を装っていたのだからそれも合点がいく。



周りの壁は飾り気の無いベニヤ板。床は鼠色のコンクリートに成っているが、大きめの収納庫らしき物に流浪する視線を止めた。
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