なんでも屋 神…第二幕
「残念だったな、そんなに繁盛してるように見えるか?」



鼻で笑いながらステアリングを握る奏だが、その表情は凍てついているように冷たい…。



所々擦り切れ穴の空いたダメージデニムはドルガバ、襟や袖の縁だけ濃淡で染められた白いTシャツはジルサンダー。



鼻筋は通り、切れ長な目尻の上には幾度と無い喧嘩で切れた瞼の傷、頬から顎にかけては筋肉が引き締まり、ミディアムを伸ばしてボリュームをつけた茶髪…その姿は、若くして成功した実業者のよう。



「金はちゃんと払うから心配すんな。俺の予想じゃ、手っ取り早く終わるか霧の中を手探りで進むように難航するかどっちかだ。」



…いやいや、そりゃどっちかしか無いだろうと思ったが、この時の俺は奏の言っている意味が分からなかっただけだった…。
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