なんでも屋 神…第二幕
「俺にはフレンチ・カクタスで、一葉にはテキーラ・グレープフルーツを頼む。」



頷いてから壁に取り付けられた電話で、カウンターへオーダーを繰り返す奏。



その紳士的な姿からは、昔に手が付けられない程荒れていた面影が感じ取れない。少しは大人になったのかな?。



初めてVIPルームに入った一葉は、物珍しそうにあちこちに視線を巡らし、流浪する瞳の端を止められずにいた。



ものの五分も掛からず、ガラステーブルの上に並べられたカクテルは三つ。



フレンチ・カクタスが二つと、一葉のテキーラグレープフルーツが一つ。



オールドファッションド・グラスに注がれたフレンチ・カクタスは、フランスのサボテンという名のカクテルで、フランス産のコアントローと、メキシコ産のテキーラをミックスし、キリッとした中辛口の味わいが堪能出来る。
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