Better half
───どのくらい、その歌に耳を傾けてただろう。

何曲目かが終わると、それまでとは、うって変わり、スローな曲調になる。

切ないバラード。

その声に吸い込まれるかの様に、

私は体育館へと向かった。


―――舞台から一番離れた入り口に辿り着き、扉を開くと、切ない響きが、一層大きく飛び出す。

そこには、何とも言えない空気が漂っていて、

みんな息を飲んで、歌に包まれてた。


 本当だったら、こんなに沢山の人がギュウギュウ詰めになってる空間に、足を踏み入れるのも嫌。

けれど…どうしても
ヴォーカルの姿を観たい。

体育館の中に入り、ステージに目をやった。

少し背伸びをして、人と人の波間に、その姿を捉えた。

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