甘々果汁BABY










大体、手漕ぎボートなんて、
どこまで疲れると思ってんの。




「あたし漕ぐよ。」



「明花?え?ちょっと大丈夫なの?」



「うん。迷惑かけちゃったし。澪は座ってて。」



体重をかけないように、
ゆっくりと前に進もうとしたけど


それを広い背中が遮った。




「野上くん…?」


「お前は真夏に守ってもらえ。」


「でもそんなの...」


「お前の彼氏は...真夏だろ。」




わかってるよそんなこと。


だから今でもわからない。
なんで『うん』って言っちゃったのか。



あたしが...あたしが好きなのは...。





沖縄の青い海から見える
眩しい日差しは、


野上くんの少し見えた表情を隠した。





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