甘々果汁BABY





『そいつ好きなの?』



頭っから離れないこの言葉。




さっき話していたのは...
もちろん野上くんのことで...



「やっと帰ってきた。母ちゃーん、明花帰ってきたー」



玄関の扉を開くと、
祐磨が大声を張り上げて

ママを呼んだ。



「おかえり。どこ行ってたの?」


「友達送りに行ってた...」



珍しくテンションの低いあたしに、
ママは心配そうに


「風邪でも引いた?」


とたずねてきた。


「うん...引いたかも」


「じゃあ早く上がって。おかゆ作ってあげるから。」


「ありがと...」



ママはエプロンをかけて、
身支度をすませ、台所へ向かった。



「ほんとに...病気かなあたし...。」



分かってしまったみたい。



恋という病にかかったということを。





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