かたつむりの恋心
プロローグ
すらすらと文字の浮かぶほうではない。

小学校の「あのねちょう」を思い出す。

「せんせいあのね」で始まる、あんなものは煩わしい宿題でしかなかった。

先生から返事が返って来ると確かに嬉しかったけど、それは「ちょっぴり」だ。

あのねちょうを書かされる労力に比べたらぜんぜん割に合わなかった。



でも、もし今、あの頃の自分に話しかけることができたとしたら、一番に「もっとちゃんと文章のかける人間になっておいて!」と言うだろう。

「書きたい」とき、それが思うように叶えられないもどかしさを感じている。
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