かたつむりの恋心
「気が向いたら帰ればいい」と、上村葉丞はナツメを部室に置いて出ていった。

泣きやんでしまうと現金なもので、周りにある興味深い本の数々をぐるりと見て回った。

図書室ほど広くはないスペースに、図書室より多いのではないかと思われる量の本が置いてある。

古びているが、ノートパソコンか、ワープロとおぼしき物体が二台置いてあった。

これを使って小説を書いたりするのだろうか。

あんまりじろじろ見るのも悪いので、(大量の本には未練があったが)部室を出ることにした。

カチャッ、とドアを開けると葉丞がいた。

「あれっ?」

「あ……」

「もしかして、ずっといた……?」
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