赤い愉楽
奥田は怜奈の手をそっと握った。


「笑顔をみせてほしい」


真剣に言葉を連ねる奥田。
対して怜奈はそれを茶化すような表情。



「どうしようかなあ…」


怜奈はじらすようなそぶりで
奥田の手を振りほどき

海辺へと走る。


靴を脱ぎ捨てた怜奈は
波打ち際に足を入れた。


海水の鮮烈な感覚が
身体に走る。


思わず天を仰ぐ怜奈。


仰いだ空は
どこまでも続く青。



怜奈は自分に付いている
鎖が

一つ一つほどけて

海に溶けていくような感覚に
なっていった。
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