赤い愉楽
「今の状況は楽しんでいいのかな?」


奥田は憎悪を湛えた表情で
ナイフを向ける怜奈を見てそう言った。



「下着姿の美しい女性に
ナイフを向けられるという経験は


そうはないことですからね」


肌を見せるのをためらうこともなく
怜奈はベッドから立ち上がる。


かまえた小さいナイフが
きらきらと照明に照らされ光っている。


「私は夫を殺した人間をこの手で殺すと
誓ったの」



怜奈には似つかわしくない
ナイフという凶器が


怜奈の美しさを
怪しくも際立たせている。


その様子が気に入ったのか
奥田は怜奈を見て深いため息をつく。
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