茜ヶ久保マリネの若気の至り
だが。

私とリヴァイアサンの本性を思い出してほしい。

私は人魚、リヴァイアサンは魔物の頂点たる竜種だ。

同じ刃による刺突の傷を受けたとしても、人魚と竜種とでは、その肉体の頑健さも基礎体力も違う。

刺突の傷が私にとってはそのまま刺突でも、リヴァイアサンにとっては針で刺した程度でしかないかもしれないのだ。

「最早手心はいらないか…」

ビキビキと。

音を立ててリヴァイアサンの頭角が枝分かれしていく。

法具・七支刀のごとき形状へと変化した頭角は、まるで巨大な鹿の角のよう。

あんな複雑に絡み合った鋭利な突起物で斬られ、刺されれば、二度と縫合すらできないような深手を負わされる事は決定的だった。

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